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その出会いは突然に。
私、ひょんなことから先日グランドセイコーのオーナーになりました。
と言っても、自分で購入したわけではなく、叔父からタダでもらった棚ぼたです。
モデルは今はもう生産終了している SBGF015 8J55-0A10 。
クォーツでノンデイトという、至ってシンプルで上品なドレスウォッチです。
叔父は腕時計自体にあまり興味がなく、今後この時計を使うこともないとのことで、私が譲り受けることとなりました。
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レザーベルトには痛みも見れるものの、外装などは目立った傷などもなく比較的キレイなまま。
しかし、とうの昔に電池が切れており針は止まっています。
「電池交換だけでいけるか?」とも思いましたが、何年前から止まっていたかもわからず、中の機械へのダメージも不安だったので、思い切ってオーバーホール に出してみました。
私にとっては人生初のオーバーホール。
正規メーカーでなくとも、一般の修理店などでもオーバーホールは可能で、価格面も安価な場合が多いですが、人生初のオーバーホール体験はグランドセイコーの正規サービス " コンプリートサービス "を利用することにしました。
この記事では、
- オーバーホールって何?
- グランドセイコーのオーバーホールは他と何が違うの?
- どんな流れで行われるの?
- 実際、どれくらい費用がかかるの?
- やってみてどうだった?
といった内容を、私の体験交えてご紹介していきます。
オーバーホールを検討している方、あるいは「そもそも必要なの?」と疑問の方の参考になれば幸いです。
■ そもそも「オーバーホール」って何?ざっくり言うと“時計の健康診断”
まず最初に、「オーバーホールってよく聞くけど何なの?」というところから軽く触れておきます。
オーバーホールとは、
時計を分解 → 洗浄 → 修正 → 注油 → 組み立て → 調整するメンテナンス作業 のこと。
ざっくりまとめると「時計の総合メンテナンス」「本格的な健康診断」です。
腕時計は、内部に本当に細かいパーツが数多く組み合わさっていて、ひとつひとつが油で滑らかに動くようになっています。
でも、長く使うことで機械部品の摩耗や潤滑油の劣化を招くため、内部の汚れを取り除き、摩耗部分のチェックを行うオーバーホールが必要となるわけです
一般的に 3〜5年に一度のオーバーホールが推奨 されています。
もちろん使い方にもよりますが、大切な時計ならできるだけ定期的にメンテして良いコンディションを保ちたいところ。
■ グランドセイコーの” コンプリートサービス ”を選んだワケ
冒頭で少し触れた通り、今回オーバーホールに出したのは「いつから止まっているのかわからない」というのが一番大きい理由でした。
保管状態も決して良くなく、無造作に放置されていた状態。外見からはわからない時計内部のダメージが心配だったわけです。
「せっかく譲り受けたグランドセイコー。蘇らせるのなら、しっかりと信頼のおけるケアを施そう。」
ということで、メーカー正規のコンプリートサービスを受けることにしました。
巷に溢れる時計修理サービスを選ばず、グランドセイコーのコンプリートサービスを選んだ理由は以下の通り。
修理技能士の質が高い
グランドセイコーは「グランドセイコーサービススタジオ」という時計修理専門の工房を構え、専門の修理技能士のみが最終チェックまで責任を持ち、メンテナンスサービスを行っています。
修理を行ってくれる技能士の皆さんは、8割以上が国家資格の時計修理技能検定一級を取得。
時計修理技能競技全国大会においても、数多くの優勝者を輩出しているそう。
頼もしい限りではありませんか。
決してメーカー以外の腕時計修理サービスが須く劣っているとは思いません。
ですが、玉石混交ではあるのは間違いない。
サービスの質が、企業によって、はたまた職人の技術力の差によってバラツキがあるのもまた事実。
安心感をもって大事な愛機を預けるには、やはり安定したハイパフォーマンスを発揮できるところに頼みたいもの。
だから私は、グランドセイコーの正規サービスを選択しました。
純正部品で的確な修理対応
グランドセイコーの正規サービスでオーバーホールを行うもう一つの魅力は、純正部品による“本来の性能”を確実に維持できる点にあります。ムーブメントの歯車やゼンマイといった精密パーツは、わずかな誤差でも精度に影響します。
その点、メーカーのサービスであれば、間違いなく純正部品を使ってもらえるので、安心感はひとしお。
今回はクォーツですが、年差±10秒の高精度クオーツキャリバーが使用されてるので、きっと一般的なクオーツキャリバーより複雑であろうと思います。
技術のない修理士では手に追えない可能性もなきにしもあらず。
ならば、グランドセイコーのキャリバーを知り尽くしているメーカー自身に修理をお願いしようと思った次第です。
販売から修理に至る情報を一元管理してくれる
メーカーならではのサービスとして、購入から、時計の生涯にわたる修理履歴の情報を管理し、的確で迅速なサービスを提供してくれるのも魅力。
上述のようにオーバーホールは腕時計の”健康診断”。
末長く使う高級時計だからこそ、しっかりカルテを保管してもらって、相棒の健康管理の一助になってもらおうかと。
ライトポリッシュもしてくれる
グランドセイコーといえば、ザラツ研磨。
腕時計のケースにゆがみのない平滑な面を施すこの研磨により、鏡面に仕上げられた後でも稜線のシャープさが損なわれず、美しい輝きを放ってくれます。
ライトポリッシュはケース、メタルバンドの表面を整え、つやを出してくれるサービスです。
打痕や深い傷がある場合は別途リペアポリッシュを頼む必要がありますが、私の時計は目立った傷もなかったのでライトポリッシュで十分かと。
グランドセイコーの真骨頂でもあるザラツ研磨の美しさを保つためにも、オーバホールと一緒にライトポリッシュがセットになっているのは嬉しい限りです。
■ グランドセイコーの コンプリートサービス の流れ
では、グランドセイコーのコンプリートサービスの流れをご紹介します。
申し込みはオンラインで完結できて非常に簡単なので、これから始めてオーバーホールに出そうと思っている方や二の足を踏んでいた方でも、臆することなかれ。
申し込み
● 時計情報の入力
オンライン修理受付から申し込みページへ飛び、必要な情報を記入していきます。
最初は腕時計情報を記入します。
保証書や保証カードがあるとスムーズ。
もちろん、それらがなくても腕時計そのものがあれば問題ありません。
所定の入力欄にお手持ちの腕時計の情報をインプット。
入力する情報
- 保証No. または品番、型式番号(必須)
- 時計のモデル(必須、ページ内で検索)
- 製造番号(任意)
- 購入日(任意)
- 再修理の確認(前回修理後12ヶ月以内かどうかチェック)
● 修理メニューの選択
次に修理メニューを選びます。
メニューは「メンテナンス・定期点検のみ」「電池交換のみ」「修理・バンド交換など」の3つに大別されます。
今回私はコンプリートサービスを希望なので、「メンテナンス・定期点検のみ」が該当。
ここでライトポリッシュの有無も選べます。
ただし、無しにしても料金は変わらず。
私は「あり」で申し込みました。
● 概算費用確認
概算費用が提示されるので金額をチェック。
私のSBGF015 8J55-0A10だと消費税、送料込みで¥59,950でした。

お客様情報の入力
住所、氏名、支払い方法など必要情報を入力します。
腕時計の発送方法で、ヤマト運輸と日本郵便の二社から選べます。
私はヤマトにしました。
この後は申し込み内容の確認などなので割愛します。
● 発送
申し込みをすると発送キットが送られてきます。
私の場合は申し込みから2日後に届きました。さすが、仕事早いですね。
封筒に入って届くので、普通に郵便ポストに投函されます。
開封すると中身はこんな感じ。
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同封されている手順書に丁寧に発送までの手順が記載されているので、初めてサービスを利用する方でも特に苦労なく発送準備ができるはず。
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箱を組み立てて、中に衝撃から腕時計を守るスポンジを敷く。
その上に腕時計を優しく横たえる。
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後でグランドセイコーから時計が返送された際に気づいたのですが、私、ベルトの傷防止の台紙の設置の仕方を間違えてました。
手順書のイラストでベルトが丸まってたので、てっきり腕に巻いてあるような状態にすべきと思ったのですが、以下のような感じでただ挟めば良かった模様。
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とにもかくにも梱包完了!
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送り状を貼っていざ発送です。
私は近所のコンビニから発送しました。
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● 見積確定、修理
申し込み後、依頼内容、過去の修理履歴、傷や汚れの有無等のチェックを行い、最終的な価格見積が提示されます。
申し込み時の概算見積もり金額以内で対応可能な場合は、修理開始のメール連絡が送られ、修理が行われていきます。
概算見積もり金額を上回る場合は、修理実施前にこのまま進めるかどうか確認連絡が来るそう。
私の場合は概算見積もりと同金額だったので、修理開始メールが届きそのまま修理が開始されました。
腕時計がセイコーに到着して9日目から修理開始、修理期間4日で完了。
発送から手元に戻って来るまで、大体3週間でした。
● 受け取り
ワクワクの受取日。
発送の時と同じケースに収納されて戻ってきました。
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開封。
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修理完了の報告書も同封されています。
どんな修理をしたか記載されていおり、さながら健康診断の結果通知のよう。
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文字盤や針にシミがあったようですが、発送前は全然気づかなかった。
劣化したパッキンは交換されてます。
長い期間放置されてきた時計なので、電池の液漏れなどしてないかちょっと心配でしたが、それはなかった模様。
電池も交換されてクォーツならではのチクタクと針が動く様は、見ていて小気味良き。
針とミニッツマーカーのズレも全くなく、カチッと合っております。
さて、実機はこちら。
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コンプリートサービス前がこちら↓。
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よく見るとベゼルやラグ部分に細かい小傷が無数についてますね。
それが、こうなる↓。
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小傷が見事に消え、美しい鏡面が戻りました。
ライトポリッシュ、侮りがたし。
ちなみに、「ウォッチメンテナンスハンドブック」という、日頃のメンテナンス方法などをまとめた冊子も同封されていました。
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■ コンプリートサービス を選んで良かった!
実際にコンプリートサービスに出して良かったのは、
- 古い腕時計でもちゃんと動いた
- 外装がキレイになって気分が爆アガリ
- 「まだまだ使える」という安心感が生まれた
ということ。
特に最後の“安心感”は大きいです。
長年使われておらず放置の年月も長かったので、「壊れてるかもな…」という不安がありました。
ですが、修理のプロに、それもメーカー正規サービスでメンテしてもらったので、その不安は払拭され、安心して使うことができますね。
■ まとめ:オーバーホールは“高級時計の必須メンテ”

今回グランドセイコーをオーバーホールして、本当に良かったと感じています。
- 精度が戻る
- 見た目がキレイになる
- 内部の機械も分解掃除、注油で復活
- これからも安心して使い続けられる
こうしたメリットを享受できると思えば、値の張る修理代金も払い甲斐があります。
逆に、「ここまでお金をかけてまで修理したくない」というのなら、その時計への愛着はそれほど深いものでもないのかも?
もし「オーバーホールしようか迷っている」人がいたら、私は迷わず
“悪くなる前にやっておくのが絶対おすすめ!”と言いたいです。
ただ、オーバーホール費用は馬鹿にならないのも事実・・
複数持ちの場合は金額も嵩んでいきますので、オーバーホール代はしっかり計画的に捻出していかなきゃですね。