腕時計レビュー

オリエント "バンビーノ38mm" 試着レビュー

2023年10月29日

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オリエント バンビーノ 38mm 試着

日本を代表する腕時計メーカー、オリエント。
自社ムーブメントを開発・生産するれっきとしたマニュファクチュールでありながら、非常に良心的な価格帯でクオリティの高い腕時計を多く輩出しています。

こと、今回ご紹介する通称”バンビーノ”のシリーズは、海外でも非常に多くのファンを獲得しているブランドきっての人気シリーズ。

従来は40.5mmのサイズでしたが、世界のバンビーノファンの要望に応える形で、ダウンサイジングされた38.4mmのシリーズが発売。
日本でも2022年10月の発売以降、瞬く間に話題沸騰のモデルとなりました。

先日、ドレスウォッチ紹介記事にてバンビーノ38mmをご紹介したのですが、記事を書きながら私自身がバンビーノ38mmが気になってしまいました。
そこで、改めて実機を見るべく正規店で試着をさせてもらってきたので、レビューを書いていきたいと思います。

バンビーノ38mm”の購入を検討されている方はもちろん、手頃なドレスウォッチや機械式腕時計の入門機をお探しの方の参考になれば幸いです。

バンビーノ38mm RA-AC0M04Y

バンビーノ38mmとインターネットなどでも多く見かけますが、正確には38.4mm。
0.4mmの違いはあるものの、38mmの方が直感的にイメージしやすいので、当記事内でも38mmと呼んでいます。

かねてより海外でも非常に高い人気を誇るバンビーノシリーズ。発売以来、世界70カ国でベストセラーとのこと。
38mmサイズが新登場した際も、日本より先に欧州地域からの発売でした。

デザインは非常にクラシカルで王道ドレスウォッチ
そして、クオリティからは信じられないリーズナブルな価格が魅力です。
機械式腕時計の入門機としても打って付けなモデルです。

クラシカルな正統派デザイン

オリエント バンビーノ38 試着

今回はシリーズの中でも最もレトロな雰囲気を持つRA-AC0M04Yを試着。(日本発売の型番はRN-AC0M04Y)

長年の着用で日焼けしたかのようなクリーム色の文字盤が特徴のモデルです。
公式HPの写真だと少し赤みのあるクリーム色かと思ったのですが、実際は黄色がかった色合いでした

オリエント バンビーノ38 風防 青針
美しい青針

針は鋭く、まっすぐに文字盤の端まで伸びるドーフィン針を思わせる形状。太いとまでは言えないものの、文字盤いっぱいに伸びた針は視認性もしっかり担保されています。
色違いで4色展開されている同シリーズのうち、本作だけに青針が採用されていて、より一層のクラシック感を醸し出しています。

サイズが小さくなったことで、前シリーズ以上によりクラシカルな面持ちを強め、ドレスウォッチとしての正統性が高まったと思います。

日本人を含むアジア人の手首サイズは、スイスなどの欧米人のそれと比較して細いので、40mm強のドレスウォッチは存在感が強くなってしまいがち。

その点、38.4mmのサイズは、我々日本人にとって、ドレスウォッチに求められる”控えめさ”を体現できる適切なサイズ感です。


また、インデックスや二頭の獅子のロゴマークは、高級感を与えるアプライド。細かい部分にも抜かりがないですね。

なお、ラグからラグの縦径は44.0mm。
細腕の男性はもちろん、女性でも十分に使えるサイズ感なので、パートナーやご家族とのシェアウォッチにもできますね。

オリエント バンビーノ38mm ボックス型無機ガラスの風防
ボックス型無機ガラスの風防

風防も往年のドレスウォッチを思わせるボックス型
素材は無機ガラスが使用されています。

サファイアクリスタルであればなお良しではあるものの、価格を考慮したら不満にはならない点かと思います。

オリエント バンビーノ38 ケースバック スケルトン
裏蓋はスケルトン。キャリバーF6724を眺められる。

裏蓋はスケルトン仕様になっており、オリエント自社ムーブメントであるF6724を鑑賞できます。

良好な着用感

オリエント バンビーノ38 着用感

今シリーズのバンビーノの最も特徴的な点は、サイズが38.4mmにダウンサイジングされたこと。

ボックス型風防と影響もあり、厚みは12.5mmとドレスウォッチとしては決して薄くはないですが、小型化したことで手首への収まりは良く装着感は良好でした。
レザーストラップなのでしっかりとストラップを巻けば、腕時計のヘッドが重いなどの不満は出てこないでしょう。

レザーストラップの革はクロコダイル型押しのカーフ(牛革)で、質感はしっかりしており、厚みもあるので堅牢性は高そうです。
堅めの革なので腕に馴染むまで少々時間はかかるかもしれませんが、馴染んだ後は使用者の腕の形状に沿った快適な装着感が期待できます。

魅力的な新作 リニューアルポイント(サイズダウン、ベルト交換しやすいラグ幅)

前シリーズまでのバンビーノはケースサイズ40.5mm。ドレスウォッチとしてはやや大ぶりなケースサイズでした。

分針も分目盛りに届いておらず、文字盤がやや間延びした印象でした。
販売価格を考慮すれば非常にクオリティが高いことはわかるものの、この間延び感によって購入にまでは気持ちが振り切れないでいました。

実際、SNSやネット上のバンビーノのレビューを見ていると、概ね高評価ではあるものの、ケースの小型化を望む声も多く存在していました。

また、ケース径とともに改善の声が多かったのが、21mmのラグ幅

一般的に奇数サイズのラグ幅は、交換できる社外製のベルトやブレスレットが少ないのです。
ベルト交換は腕時計ライフの楽しみの一つ。その選択肢が大幅に減ってしまう21mmのラグ幅は、バンビーノのファンがリニューアルを切望したポイントでもありました。

そうしたファンの声が、オリエントの製品開発の皆さんへ届いたのでしょう。今回のリニューアル版はケース径が約2mm小さく38.4mmに。前シリーズまでは寸足らずだった分針も、38mm版ではしっかりと文字盤の端まで伸び、デザイン上のメリハリも実用上の視認性も向上されました。

そして、ラグ幅も汎用性の高い20mmへ変更されました。
痒い所にピンポイントで手が届いたリニューアルですね!

昨今の腕時計に見られるヴィンテージ回帰の潮流もあるでしょうが、バンビーノ38mmは時代の流れとファンのニーズが合致して生まれた名作と言えのではないでしょうか。

ここが惜しい!

オリエント バンビーノ38 ボックス型風防 
個人的には風防が少々出っ張り過ぎでぶつけたり擦ったりしそう。

名作と言った矢先で恐縮ですが、惜しい点もあります。
ただ、価格を考えたら難癖レベルの些細な点ではありますので、基本的には素晴らしい腕時計とお考えください

その惜しい点ですが、ボックス型風防が少々出っ張り過ぎに感じること。

もちろん、クラシカルな意匠として、ボックス型風防は非常に魅力的だとは私も思っています。実際、私自身がクラシカルなデザインが好きなので、手持ちのチューダー ブラックベイ54やロンジンのレジェンドダイバーなどは、ボックス型に近いドーム型風防がお気に入りポイントの一つ。

しかし、バンビーノ38mmのここまで出っ張った風防は、何かにぶつけたり擦ってしまうリスクが上がります。
風防素材がサファイアクリスタルであれば、多少擦った程度で傷が付く心配はありませんが、バンビーノに採用されている無機ガラスだと、使用に伴い傷がどんどん付いてしまうのではないかと少々不安に感じます

傷も味のうちではありますが、バンビーノはツールウォッチではないので、ガシガシ使っていくというよりは、可能な限り傷は避けたい時計かなと思っています。

オリエント バンビーノ38mm ボックス型無機ガラス風防 視認性
斜めから見ると時刻読み取りが少々しづらい。


実用上の観点からも、斜め上から文字盤を見た際に、風防の曲面で針が見えず時刻が読み取りづらいと感じました。
例えばビジネスの商談時のように、腕を返さずにそれとなく時間を確認したい場合には、時刻の読み取りに若干の支障が出るかもしれません。


参考までに、上の二つの画像はチューダーのブラックベイ54の風防。
ドーム型サファイヤクリスタル風防を使用していますが、斜めから見ても風防の曲面による視認性悪化がないようデザインされています。

もちろん、価格が違いすぎるのでこのレベルは望みませんが、もう少し視認性はよくしていただきたいなと思っています。

オリエント バンビーノ38mm デイト表示
デイト表示の色が文字盤の色と統一されていない


もう一点、デイト表示が文字盤と統一されておらず白色なのも気になりました。
デイト表示自体が小さく、視認性も良いとは言えないので、いっそのことノンデイトが良いのでは?とも思います。

クラシカルなデザインが魅力でもあるバンビーノであれば、機能面でデイト表示の利便性を捨てノンデイトにしても、決してマイナス点にはならないと思います。

最強のコストパフォーマンス、同価格帯に敵なし

オリエント バンビーノ38mm 試着 レビュー

心配性の私としては、ボックス型風防に傷が付くのではと少々不安を感じるものの、全体的なクオリティは値段を遥かに上回る出来栄えなのは間違いないでしょう。

メーカー定価は¥31,900(税込)。
この価格帯で同レベルの機械式のドレスウォッチは他にはないのではないでしょうか?

自社ムーブメント搭載の機械式腕時計、ボックス型風防、アプライドインデックス、美しい青針。セイコーやシチズン、ましてやスイス製腕時計では、同レベルの腕時計はまず5万円以上はします。

まさに最強のコストパフォーマンスを誇るドレスウォッチ、バンビーノ38mm。
同価格帯の腕時計には敵なしの無双状態です。

少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ店頭で実機を見てみてください。
きっとそのまま連れて帰りたくなること間違いなしですよ!

スペック

駆動方式機械式
キャリバーF6724
精度日差+25秒〜-15秒
駆動時間40時間以上
ケース材質ステンレススチール
ガラス材質(表)ボックス無機ガラス
ガラス材質(裏)無機ガラス
ルミナスライトなし
バンド材質皮革(カーフとストラップ裏に記載あり)
バンド幅20mm
中留尾錠
重さ54g
縦径44.0mm
横径38.4mm
厚み12.5mm
防水日常生活用防水(3気圧)
耐磁1種
その他特徴自動巻(手巻付)、秒針停止装置付き、シースルーバック、
22石、オリエント公式オンラインストア限定
参照:オリエント公式HP

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