腕時計レビュー

Tissot PRX Powermatic 80 Blue 15ヶ月使用レビュー

2023年3月15日

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PRX_Powermatic80_review


Tissot PRX Powermatic80。
ソリッドでシャープな外観、流麗で快適なブレスレット、100m防水、パワーリザーブ80時間。高い耐磁性。
Precise(正確)のP、Robust(堅牢)のR、10気圧防水からXを取り、PRXという名付けられたこの時計は、名前に違わぬ高い実用性を持つ腕時計です。
実際に使い始めて1年以上経ちますが、評判に違わぬ良作なのは間違いなしです。

「1本目の機械式腕時計をお探しの方」
「良心的な価格でも高見えする腕時計をお探しの方」
「ラグスポのデザインを楽しみたい方」
「オンオフ兼用で使える腕時計をお探しの方」

そんな皆さんへぜひオススメしたい一本です。まず後悔することはないかと思います。
約1年3ヶ月使用したレビューを書かせていただきますので、購入を検討されている方のご参考になれば幸いです。

デザイン

オリジナルのPRXが登場したのは1978年。
近年の雲上ブランドのラグスポ時計の流行から、デザインだけを踏襲した腕時計も散見されますが、ティソのPRXの場合、実際に70年代に発売をされているという、歴史に裏打ちされたストーリー持ったもの。それがPRXのデザインに説得力を増しているのではないでしょうか。

PRX_powermatic80

全体的に直線的でエッジが際立っており、シャープな印象を与える時計です。70年代のレトロ感とスポーティさを兼ね備えた本作は、サテン仕上げを中心としながら、ベゼルや要所要所のポリッシュ仕上げが抜群の立体感を生み出し、10.9mmの薄型ケースながら存在感はしっかり担保されています。思った以上にサテン仕上げの部分もキラッキラと光を反射するので、けっこう目立つ時計だと思います。


ラグとブレスレット一体型の特徴的な形状は70年代のデザインセンスをしっかりと踏襲していながら、しっかりと現代に通じるデザインに仕上げられているのは、やはり歴史の長い時計メーカーであるティソの技術力、デザイン力の賜物ではないでしょうか。決して古臭さを感じさせない、非常jにスタイリッシュなデザインに仕上がっています。

着用感


まず、特筆すべきはブレスレットの快適さです。
凸型の1連のコマですが、一つ一つのコマがスポーツウォッチとしては小さく、滑らかに動くので手首にしっかりと沿って包み込み、快適な装着感となっています。エッジがしっかりと立ってシャープに見えますが、装着時に角が当たってストレスを感じるということはなく、計算された快適性を持ったブレスレットです。

見た目としても、ケースと同じく縦のヘアライン仕上げでブレスレットも統一され、ソリッドな印象。しかし、コマの先端の連結部分のみはポリッシュ仕上げと、手の込んだ作りになっています。このコマの先端のポリッシュ部分が。サテン仕上げのブレスレットが動く度、見る角度が変わる度に光を反射しキラキラと輝きます。とても10万円以下の時計とは思えない、素晴らしい出来栄えのブレスレットです。



非常に使い勝手の良いPRXですが、装着感の観点から一点気になるのが、ラグからラグの長さです。
スペック上のラグ・ラグ間は44.6mm。この数字だけを見ると、縦径の長さは短く抑えられているように見えますが、実際の着用感は少々異なります。ラグと繋がるエンドリンクが固定されているので、実際の縦径はこのエンドリンクまでを含んだ長さと考えた方がよろしいかと思います。長さでいうと約51mm。横径40mmではありますが、実際の感覚的には41mm径の腕時計に近い感覚です。

仕上げ

PRXには先行して販売が開始されたクォーツと追って発売された自動巻きの二つに大別されますが、自動巻きの方のダイアルはクォーツに一層の高級感を持たせた立体的な「エンボスド・チェッカード・パターンダイアル」。ワッフル型の装飾が施されたダイアルには、サンレイも控えめに施されており美しく光を反射。

青の色味もネイビーに近い落ち着いた色で、チープな感じや若すぎる印象は与えません。
また、クォーツ版の日付表示にはない縁取りが施され細かいところにも余念がありません。


国産時計にありがちですが、メーカーロゴやブランドロゴをドーンとダイアル内に配置してしまうと、一気に子供っぽくなり他の美点を崩してしまいがちですが、そこはさすがのスイスの老舗メーカー。デカデカとロゴを配置することなく、しっかりと視認できる大きさでありながら、品よくロゴを配置する絶妙なバランス感覚はさすがの一言です。

針ものっぺり感のない立体的な仕上げになっていてチープさはありませんね。

ムーブメント

ムーブメントは最長80時間ものロングパワーリザーブを備えたPowermatic80。ティソの代名詞的なムーブメントになりましたね。
スウォッチグループとオーデマピゲが共同開発したチタンベースの優れた耐磁性能を持つ特殊な非磁性合金、Nivachron™️製のヒゲゼンマイを採用し、時計の精度に影響を与える磁気に強いため、現代の磁気に囲まれがちなライフタイルにはバッチリの機能性です。オーデマピゲと共同開発というのも何気にすごいことですよね。

そして、このPowematic80、精度も非常に良好です。クロノメーター認定は受けてはいませんが、それに匹敵する精度で駆動しているのが、使用者としての実感です。今度、ある程度の日数をかけて精度測定をしてみたいと思いますが、感覚的にはクロノメーターのオメガとそう大差ない精度で動いている印象を持っています。
これでこの価格、スイス製腕時計の底力を感じずにはいられません。

ケース裏面はサファイアクリスタルのシースルーとなっており、ムーブメントがしっかりと見える構造。ローターにも美しい装飾が施されています。

Tissot_PRX_Powermatic80_movement
ちなみにブレスレットはクイックリリースブレスレットで
革ベルトにも交換可能。

着用シーンの汎用性

PRXを購入前、私自身も色々インターネット上で情報収集をしていたのですが、「オンオフ兼用に最適!」「最強のビジネスウォッチ」などと評価されているサイトも多々ありました。ですが、実際に1年以上、職場でもプライベートでも使用をしてきた実感としては、意外と着用の幅は限られるかもしれません。限られるというか、何というのか、「ドンピシャなシーンが少ない」感覚を持っています。

PRX一本しか持っていなければ、オンオフ兼用で幅広い着用シーンで使うこともできるかと思います。サテン仕上げベースの外装、薄型のトノー型のケース形状、ソリッドかつシャープなデザイン、数字表記のないインデックスなど、ビジネスの場でも気兼ねなく使える要素はたくさん持っています。あまり服装に厳しくない職業であれば、なんの問題なく使えるでしょう。黒文字盤であれば尚更かもしれません。

ですが、このPRX、思った以上にキラキラしているのです。サテン仕上げのブレスレットも、腕を動かすとキラキラキラっとコマ一つ一つが光を反射して目立つ目立つ。大事な商談中のある日、初対面の相手やビジネスマナーを問われる場面では、あまりPRXを全面に押し出さない方が良いかもしれません。使うにしてもシャツの袖口に収めておいた方が良いかもしれません。やはり、きちんとしたビジネスシーンには、控えめなドレス系の時計の方がマッチします。ビシッとスーツを着る際は他の腕時計にして、ジャケパンスタイルで少々の遊びを利かせられる日にPRXを使う方が、全体のイメージとしては締まった印象になるかと思います。

逆に、オフの日はどうかというと、これまたピッタリあう使用シーンが意外と少ない気がします。腕時計がキラキラしているので、服装もある程度キレイめな方が合うと思います。リラックス感の強い服装や、アウトドア感のあるスタイル、土臭いアメカジ系の服装だと合わないかと。一定の”小綺麗さ”を求められるような気がするのです。
私が常夏の東南アジアで生活していることもあり、オフの日の服装がだいぶカジュアル寄りになっているのが原因でもあるかもしれませんが・・・

一言でいうと、「PRXでも大丈夫そう」な場面は多々あるものの、「PRXこそふさわしい場面」は少ない、そんな印象です。
ただし、良い時計であるのは間違いないので悪しからず。

まとめ

発売当時は10万円を切る魅力的な価格でありながら、サテン仕上げをベースにした美しい外装の仕上げ、80時間パワーリザーブ、10気圧防水と、日常使いの腕時計としての実用性は非常に高く、コストパフォーマンスに優れるティソの名作の一つだと思います。
同価格帯の日本メーカーの腕時計と比べてしまうと、やはりどうしても、スイス製腕時計のデザイン性の高さ、技術力の高さを感じずにはいられません。「俺たちはこの価格でここまでできるぜ!」と言われているような、挑戦的な姿勢が垣間見れる逸品と思っています。

これから機械式時計の購入を考えていらっしゃる方にも、すでに多くのコレクションをお持ちの方の寄り道時計としても、どちらのニーズにもしっかりと応えてくれる、非常に汎用性の高いモデルです。ただ、その汎用性の高さゆえに、逆にバッチリとはまるシチュエーションは少ないのかなとも思う次第です。

あれこれ書いてはきましたが、総合的に見て非常によくできた腕時計であるのは間違いありませんので、ぜひ一度お手に取っていただければと思います。

スペック概要

  • 厚さ:10.9mm
  • ケースオプション:シースルーケースバック
  • 長さ:39.50mm
  • 幅:40.00mm
  • ケース素材:316Lステンレススチールケース
  • ラグ:12.00mm
  • ケース形状:トノ―(樽型)
  • ガラス素材:傷防止加工無反射コーティングサファイアクリスタルガラス
  • 重量:138g
  • 防水:10気圧防水(100 m/330 ft)
  • パワーリザーブ:最大80時間ロングパワーリザーブ

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