2023年6月、セイコー プロスペックス史上初の機械式GMTウォッチとして鳴り物入りで登場したSBEJシリーズ。
前評判に違わぬ高い評価を得て、人気沸騰したのも記憶に新しいでしょう。
メジャーリーガーの大谷翔平さんが広告内で着用している、グリーンの”SBEJ009”は特に大人気。
お店に行ってもなかなか買えないとも言われています。
ところが先日、たまたま立ち寄ったセイコーブティックにてSBEJ009を発見!
これは良い機会と試着をさせてもらったので、レビューしていきたいと思います。
今回の記事は以下のような皆さんのご参考になれば幸いです。
こんな皆さんの参考に
- ダイバーズウォッチが好き
- GMT機能付きの腕時計を探している
- スポーツウォッチにも無骨さだけでなく高級感も欲しい
- 高級スポーツウォッチの入門機を探している
- 実際、価格(約20万円)に見合ったクオリティか知りたい
詳細の前に一番印象に残った点を申し上げると、”凄まじく気持ちいい装着感”!!!
これには驚きました。
それではレビューを始めていきたいと思います!
1. 高級感たっぷりの男前ウォッチ
SBEJ009のデザインの元ネタは、1968年に発売されたプロフェッショナルダイバーズウォッチ。
当時、世界最高水準を誇ったハイビートムーブメントを搭載したダイバーズウォッチを、現代らしいデザインにリニューアルされたものになります。
(1968年当時のデザインはセイコー公式HPにて確認できます。)
本作の基本的なデザインは、”ザ・セイコー”なダイバーズウォッチ。
ボリューミーなケースに4時位置のリューズなど、一眼でセイコーのダイバーズだとわかる外観をしています。
この4時位置のリューズ、私はこれまで食わず嫌いで実機を試着したりしておらず、今回のSBEJ009が人生初の4時位置リューズ体験。
手首を返してもリューズが手首周りや手の甲に干渉しないって素晴らしいですね。
比較的大型ケースの多いダイバーズウォッチに起こりがちな、意外と気になるリューズの食い込みストレスを確実に減らしてくれます。
ケースサイズは横径42mm。
数値上は大きいかなと思いきや、随所にメリハリよく面取りとポリッシュ仕上げが施されているので、全体的な印象としてはパリッとしたシャープさも感じるデザインになっています。
ベゼルも太さがあり、ケース径に比してダイアル自体は小さくなるので”デカっ”という印象は全くありませんでした。
「ガタイのいい小顔のイケメン」みたいな感じとでも言いましょうか。男前な時計です。
2. 立体感抜群の仕上げ
立体感に富む SBEJ009 のケース
まずケースから。
パッと見た瞬間にわかる高級感。
ケースに並んでいた他のダイバーズウォッチの中で、明らかに異質を放っていました。もちろん良い意味でです。
力強い印象を与えるヘアライン仕上げをメインに、ポリッシュ仕上げが随所に施されているので、非常に立体感を感じるケースとなっています。
ラグの部分のポリッシュ仕上げなんかは、オメガのプラネットオーシャンを彷彿とさせました。
もちろん、プラネットオーシャンとは価格帯が違うので、細かく見れば仕上げの精度は違うかもしれません。
ですが、スイスの高級ダイバーズウォッチと比べても、決して見劣りしない高級感をSBEJ009は醸し出していました。
また、セイコー プロスペックスの中では上位機種のみに使われる、セラミック製の回転ベゼルを有しています。
対傷性に優れるセラミックベゼルにより実用性能も上がると同時に、その艶やかなきらめきが美しく審美性も格段に上がっていますね。
ベゼルの色味がグッと濃いグリーンなので、光の強くない場所では黒に近い色味に見え、不必要にポップで目立ってしまうことはないと思います。
メリハリの利いた風防・ダイアル
ケースから文字盤に目を移すと、まず最初に風防の端が斜めにカットされていることに気がつきます。
このカットによって風防にも立体感があり、かっこいい。
風防の素材はサファイヤクリスタル。内面無反射コーティング加工です。
文字盤は鮮やかなグリーンが美しいサンバースト仕上げ。
ベゼルのグリーンの色味より少し明るいメタリックグリーンといった感じ。
回転ベゼルのグリーンと統一感ある色合いでまとめられている中、ゴールドに輝くGMT針と秒針の赤色が良い感じに差し色になり、文字盤全体にキュッとメリハリを持たせています。
また、分目盛りの外周に小さく24時間表示があるのもGMTウォッチならではのポイント。
文字が小さいので文字盤にゴチャつき感を与えず、程よいアクセントになっているのも◎。
アプライドインデックスも高級感と視認性がバッチリです。
試着なので夜光の確認まではできていませんが、明らかにルミノバたっぷりのインデックスなので、暗い場所での視認性も期待できますね!
秀逸なブレスレット
ブレスレットは筋目加工がメインで、一コマ一コマにしっかりと厚みがある、見るからに堅牢な代物。
かといって、ただ無骨なだけではないのがSBEJのブレスレットの魅力です。
センターリンクの上部がポリッシュ加工が施されており、腕を動かすたびにさりげなくキラッと光を反射します。
全面ポリッシュだとギラつき過ぎてしまう恐れもありますが、これなら職種によってはビジネスでも躊躇なく使えるでしょう。
ラグ幅も20mmとそこまで太くないのも、洗練された雰囲気を与えるのに一役買っていますね。
なお、ケース同様、ブレスレットにもダイヤシールド加工が施されているので、日常的な小傷や擦れ傷から腕時計を守ってくれます。
ただし、ダイヤシールド加工があると、傷ができた場合に研磨での修復ができないので、そこは難点に感じる方もいらっしゃると思います。
ダイヤシールドで傷が”つきにくい”だけで、つかないわけではありません。
長期的な使用を考える方はメリット・デメリットを腹落ちしてから購入した方が良いと思っています。
3. 超絶気持ちいい!装着感
私が最も魅力に感じたのがSBEJ009の装着感の良さ。
腕に乗せた瞬間、あまりの快適な付け心地に「おぉっ」と声が出ちゃいました。
ブレスレットの長さ調整なしのフルコマで176gと、決して軽い腕時計ではありません。
ですが、腕に乗せた瞬間、腕時計がスッと腕に吸い込まれて腕の一部になったような感覚がして、ずっと着けていたくなるのです。
この素晴らしい装着感は、ケース形状が腕に沿うような形でカーブしており、重さがバランスよく分散されているおかげでしょう。
厚みも12.9mmとGMT機能付きのダイバーズとしては薄い部類で、ラグからラグも48.6mmとコンパクトに収まっている点もGood。
42mmの大きすぎないケースに対して、ブレスレットはラグ幅20mmと相対的にやや細身。
しかし、コマは厚くしっかりしているので適度に重みがあり、細身ゆえに重さがギュッと凝縮され、ケースとの重量バランスが取れているようにも感じました。
私個人としては、自分の手持ちのコレクションや試着した時計の中でも、一番気持ちいい装着感でしたね。
装着感だけで”買い”のフラグが立ちましたね。
4. スペック面での特徴
スペックはダイバーズウォッチとしての十分。
200mの潜水用防水機能、逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リューズ、たっぷりの夜光塗料に視認性高い文字盤。
GMTウォッチとしてはどうでしょう?
SBEJはGMT機能を主軸にしたモデルではないと思います。あくまでダイバーズウォッチにGMT機能を追加したもの。
そのため、24時間目盛りのついた回転ベゼルは持ち合わせていませんし、GMTの機能もいわゆるコーラー式。
コーラー式は、GMT針がその他の針と独立して動くため、ユーザーがGMT針を調整して第二時刻を24時間目盛りによって読み取る形式。
どちらかというと、旅行先でローカルタイムに合わせて使うより、ホーム地で別の時間帯を追跡するのに便利な機能かなと。
パワーリザーブは72時間、日差は+25秒~-15秒。
セイコープロスペックス初の機械式GMTウォッチとして、新型キャリバー6R54を搭載しています。
ただ、新型と銘打つ割には精度はそれほどでもないかなぁ、と。
スイスメーカーではCOSC認証クロノメーターを10万円台で販売しているメーカーもあるので、精度に関してはセイコーにも正直もう少し頑張って欲しいところです。
価格はメーカー定価209,000円(税込)。
5. SBEJ009 競合モデルをピックアップ
SBEJ009の購入を検討される方のご参考に、同モデルの競合になりうるモデルをいくつかピックアップしてみました。
1. オーシャンスターGMT(ブランド:Mido)
競合モデルとして真っ先に思い浮かんだのが、スイスのスウォッチグループに属するミドーのオーシャンスターGMT。
SBEJと同じく、200m防水のダイバーズ型GMTウォッチ、セラミックベゼル、文字盤内に24時間目盛りなど、共通するポイントも多いです。
パワーリザーブはSBEJを上回る80時間。
メーカー定価は素材により多少異なるものの、183,700円〜214,500円(税込)。
サイズはSBEJより大きく、ケース径44mmです。
私も以前気になり試着させてもらいました。こちらはファブリックストラップのネイビー。
2. シリーズ8 GMT(ブランド:シチズン)
セイコーとともに日本の腕時計メーカーのツートップとして君臨するシチズンより、シリーズ8 GMT。
ブレスレット一体型の都会的でシャープなルックスでかっこいい。
こちらは24時間表示ベゼルの本格的な機械式GMTウォッチ。
パワーリザーブは50時間なものの、精度は平均日差-10秒~+20秒とSBEJ以上に高精度。
第2種耐磁を持つので、磁気を発する機器に1cmまで近づけても基本OK。
ケース径41mm、防水性能は10気圧。
お値段はレギュラーモデルで税込220,000円。
3. SBPK001(ブランド:セイコー プロスペックス)
SBEJと同じくセイコープロスペックスより、SBPK001をご紹介。
こちらは、「SBEJのデザインは好きだけど、もう少しリーズナブルなものが良い」という、価格志向の強い方向けのご提案です。
SBEJ同様、複数カラーでの展開ですが、SBEJ009と同じくこちらもグリーンのSBPK001がラインナップにございます。
SBEJが機械式のGMT機能なのに対し、SBPKはセイコー初のソーラーGMT機能を搭載したダイバーズウオッチ。
しかも、時針のみを単独で動かせるフライヤー式GMT。
サイズは横45mm、縦51.2mm、厚み13.2mm。
SBEJより大型です。
ムーブメントはソーラー式クォーツのため、機械式より当然精度は高く、平均月差±15秒。
価格はメーカー定価89,100 円(税込)
高級感ある仕上げの面ではSBEJには敵いませんが、ツールとしての機能性を重視される方にはこちらの方がコストパフォーマンス良く感じられるかも知れません。
6. SBEJ009 レビュー まとめ
正直、SBEJ009の発売当時は、セイコーHPで見たその姿に私としてはあまり琴線に触れるものはありませんでした。
が、実物は画像より数十倍は美しく、また、画像からではわからない装着感の良さに度肝を抜かれました。
食わず嫌いをしていた数ヶ月前の自分が恥ずかしい・・
ポイントを改めてまとめますので、気になる方はぜひセイコーのお店へ実物を見に行ってみてください!
SBEJ009 まとめ
- セイコープロスペックス初の機械式GMT機能搭載のダイバーズウォッチ
- 随所に施されたポリッシュ仕上げにより、高級感バリバリの外装
- ダイヤシールドによりケース、ブレスレットの耐傷性UP
- ケース径は横42mm、縦48.6mm、厚み12.9mmとGMT付きダイバーズとしてはコンパクト
- 重量バランスがよく、カーブしたケース形状も相まり、装着感はバツグン!
- 200m潜水防水、72時間パワリザーブ。
- 日差は+25秒~-15秒。
- より細かいスペックは公式HPにて