前回の記事で、デンマークの マイクロブランド ”Nordic Marine Instruments"(以下、NMI)の腕時計を購入報告させていただきました。
しかし、実は購入決意のギリギリまで悩んだ他の候補が2本ありました。
最終的には、両者それぞれに感じた魅力をNMIが併せ持ちながら、逆にそれぞれに感じた懸念点をNMIに感じなかったため、自分自身を納得させる理論武装(言い訳・・笑)に成功。購入に至りました。
直感で「好きだ!」と思ったのが最初のきっかけではありますが、好きだと思ったもの全てを買えるわけではない悲しき懐事情。やっぱり背景説明をできる状態で自分自身にGOサインを出してあげたい。衝動買いじゃないんだよと言い聞かせたかったわけです。
今回の記事は、私がいかにしてNMIを買うに至ったか、その紆余曲折をご説明いたします。
マイクロブランド NMIは、実店舗がなく実機を手に取って見ることができず、なかなか実物のイメージが湧きにくいと思います。私が悩んだ他候補との比較で、少しでもNMIのイメージを具体化いただければ幸いです。
候補1:ORIENT “MAKO 40 RA-AC0Q02L10B”
もともとはオリエントから昨年発売されたMAKO 40を購入しようと思っていました。
私は、弊ブログでも以前ご紹介させていただいたオリエントの”カマス”を愛用しており、価格に見合わぬ高い品質に大変満足しています。
カマスは精度も驚くほど高く、また、デザインも好みなので使用頻度の高いお気に入りの腕時計。
そんなお気に入り腕時計を手がけるオリエントが新しく発表したMAKO 40は、当然、オリエントユーザーの端くれである私にとっては非常に気になった作品。発売後すぐに店舗で実機を試着しに行き、購買意欲は買う寸前まで高まりました。
実機を試着して、私がMAKO 40で気に入った点・懸念に感じた点は以下の通りです。
気に入ったポイント
・横径39.9mmのコンパクトなサイズ感
・ブレスレット交換のしやすい20mmのラグ幅
・シンプルなデザイン(曜日表示なし、バーインデックス、ペンシル針、リューズガードなし)
・ステンレススチール製ベゼル
・20気圧防水
・手の出しやすい価格
懸念に感じたポイント
・エンドリンクと弓管部分の噛み合わせの甘さ
・もう少し高級感がほしい
オリエント MAKO 40は、非常に魅力的でした。懸念ポイントについても、あえて言えばという感じの瑣末なこと。
エンドリンクと弓管の噛み合わせはカマス同様に社外製のブレスレットへの交換ですぐに解決できます。
また、高級感については、ツールウォッチ然としたデザインと普段使いすることを踏まえれば、むしろ過度な高級感は不要かもしれません。私自身、MAKO 40を検討していた際はG-SHOCKを買おうかとも思っていたので・・。
サイズ良し、デザイン良し、性能良しと来て、価格も良心的。
買わない理由がないと思うくらいに気持ちは高まっていました。
候補2:SEIKO “SBEJ019”
オリエント MAKO 40を試着して、「十中八、九買うだろな」という気持ちで退店した私ですが、ふと、「オリエントはカマスを持ってるし、日本の他の代表ブランドも検討したいな。そうだ、SEIKOだ!まだ持ってないし!」と思い立ちました。
後日、SEIKOのブティックを訪れ、いくつかのモデルを拝見している中で発見したのが”SBEJ019”。
セイコープロスペックスから昨年発売されたGMT機能付きのSBEJシリーズ。
以前、グリーンのSBEJ009は試着をしたことがあり、弊ブログでも試着レビューを書かせていただきました。
SBEJ009(緑)レビュー
そのSBEJシリーズの本数限定モデルがこちらのSBEJ019。
SEIKOの海洋保護活動支援”Save the Ocean”シリーズに加えられたモデルです。基本スペックはレビューしたSBEJ009と同じですが、ダイアルデザインはスペシャルなもの。「氷河」をモチーフにした立体的な型打ち模様が施された白銀のダイヤルは、非常に美しく、いつまでも眺めていたくなります。
また、本数限定モデルで人気も高いので、目の前にある”今”しか買えないかもしれない。
めちゃくちゃ悩みました。
ただ、今回買おうと思った腕時計は、あくまで普段使い用。
元々の候補であるオリエント MAKO 40の実勢価格と比べ、約7倍高価なSBEJ019。だいぶ価格差があり、衝動買いするには金額が大きかったので、泣く泣く試着を終え退店。
その後、冷静になってから、私にとってのSBEJ019が気に入った点と懸念点を改めて洗い出しました。
それが以下です。
気に入ったポイント
・氷河モチーフの立体感あるダイアルデザイン
・高級感ある随所の仕上げ
・装着感の素晴らしさ
懸念に感じたポイント
・GMT機能付きダイバーズウォッチは、手持ちのオメガ プラネットオーシャンGMTと被る
・気に入った高級感も、デザイン・機能的に被るPO GMTのそれには敵わないので、結局出番が少なくなりそう
・普段使いの寄り道時計としては価格が高い
・精度が日差+25秒~-15秒と、価格帯を考えると少々物足りない
・普段使いには少々過剰なスペックで、見た目もインパクトが強い → 服装を選び使用頻度が落ちそう
ただし、懸念ポイントを吹き飛ばすくらい氷河ダイアルは魅力的でした。
上に挙げた懸念ポイントは、燃えたぎる物欲の炎を鎮火させるため、自分自身へ必死に投げかけた説得の言葉ですね(苦笑)
NMI "Østersøen Arctic Hsvid"に決めた理由
オリエント MAKO 40とセイコー SBEJ019で心揺れ動く私の目にふと止まったのが、NMIのインスタグラムの投稿。
モデル名”Østersøen”は、まさに私が迷っている2モデルの良いとこ取りをしているではありませんか!
MAKO 40と同じくステンレススチール製のベゼルを持ちつつ、ダイアルにも数字は一切なく、デザインは至ってミニマル。MAKO 40で気になったエンドリンクも、こちらは316Lのステンレススチールの無垢材。且つ、クイックリリース機能付き。
サイズも横径40mmと使いやすい大きさで、防水性能も200m。バックルにはマイクロアジャスト機能まで付いています。
ケースの仕上げもポリッシュとサテンの細かい使い分けがされており、高級感もしっかりある。
しかも、ダイアルに北欧の海を模した波模様があしらわれている芸の細かさ。
セイコーのSBEJ019の氷河ダイアルは、本数限定のスペシャルエディションだけありダイアルの作り込みが全面に訴求された作品ですが、NMI Østersøenのダイアルの波模様は、あくまでさりげなく、上品さな佇まいを感じます。
主張が強くないので、色々な服とのコーディネートもしやすく、サッと使えるのは普段使いに打ってつけ。
最後のダメ押しが、USD549.00の手に取りやすい価格設定。
昨今の円安下において、日本円で8万円台で購入できてしまいます。
私の中ではMAKO 40の上位互換であり、SBEJ019に感じたダイアルデザインや仕上げに通じる高級感も兼ね備えていました。
マイクロブランドだけにインターネット上でも情報量が少なく、また、実機をこの目で確認できないのが懸念ではありましたが、思い切って購入。
レビューの通り、大満足の買い物となりました。
本当に使いやすく、近所への買い物からちょっとしたお出かけ、仕事の時まで、使用頻度高く愛用しています。
気に入ったポイント
・品よくさりげない、北欧の海の波模様を模したダイアル
・ミニマルなデザイン
・高級感と立体感を生む仕上げの細かさ
・ユーザー目線に立った随所の機能(ノーデイト、クイックリリース機能付きブレスレット、マイクロアジャスト機能付きバックル)
・これだけの見た目、仕上げ、機能を備えながら、日本円にして8万円台の良心的な価格設定
懸念に感じたポイント
・バックルに厚みがあり、端が少々出っ張っており仕上げも少々粗いので、服にひっかかりそう
私としては、Østersøenに関しては懸念点や欠点は正直ありません。
強いて挙げれば、バックルの厚みと一部の仕上げが粗いので、服に引っかかりそうなことぐらいでしょうか。
※NMIを褒めちぎっている私ですが、ブランドから宣伝を頼まれたわけでもありませんので悪しからず。
褒めまくっていても一銭も私には入りません。あくまで1ユーザーとしての感想です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
NMIはまだまだブランドの知名度も高くはなく、情報量も限られています。現状としては実機を手に取って確認できないことが、このNMIの腕時計を購入する最大の障壁になるだろうと思います。
今回は私がNMIの腕時計を購入する前に検討していた腕時計をご紹介することで、NMIに通じる要素を少しでも感じていただければ幸いです。オリエント MAKO40やセイコー SBEJ019などに興味があれば、NMIのØstersøenも気に入るかもしれない。そんな考えでおります。
兎にも角にも、NMIのØstersøenは使い勝手良い、コストパフォーマンスに優れた逸品です。
まだまだ数少ない(であろう)日本人ユーザーとして、この時計の魅力を今後も発信できればと思います。