腕時計レビュー

【 レトロで高コスパ】オリエント " カマス " グリーン 【使用レビュー】

2023年3月1日

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オリエント カマス グリーン

「腕時計の良し悪しは価格に比例しない」
この言葉をまざまざと私に突きつけてきた腕時計が、日本が世界に誇る腕時計メーカーであるオリエント社の通称、"KAMASU"

予算的に制約があるが、妥協して低品質のものは買いたくない」
「レトロな雰囲気を持つダイバーズウォッチに興味がある」
コスパの高い腕時計がほしい」
「国産時計を使ってみたいが、ちょっと人と違う腕時計がほしい」

そんな方にうってつけの腕時計かと思います。

約1年使用した感想を書き綴りますので、
ご購入を検討されている方の参考になれば幸いです。

なお、私が海外在住のため、海外向けの製品ロットの購入となりました。(Ref: RA-AA0004E)
基本スペックは日本で販売されているものと同じですが、以下2点が異なるのでご注意ください。

  • 日本国内発売品は日本製造、海外向けはムーブメントは日本製だが海外生産品
  • デイト表示は海外向けは英語・スペイン語の二段階表示

パッケージ

外箱はシルバーとブラックの配色がなかなかスタイリッシュ。
無駄なスペースのないコンパクトな包装は潔さを感じます。

デザインが絶妙

オリエント カマス ダイアル
カマスというペットネームの由来となった力強い針のシャープさも魅力。
写真のようにダイアルのグリーンが光の加減でコバルトブルーのように見える瞬間も

力強くシャープな針

「カマス」のペットネームがつく所以となったシャープな針
短針の形状は、まさにいかつく鋭いオニカマスの頭のようです。

長針も伸びやかに文字盤の縁ギリギリまで届いており、申し分のない長さ、視認性となっています。
研ぎ澄まされた日本刀を彷彿とさせる鋭利な形状も素敵です。

この鋭く整えられた針がカマスの魅力の一つだと思っています。

また、朱色の秒針も良いアクセントで緑の文字盤に映えます。

豊かなダイアルの彩り

ダイアル、ベゼルともに濃いグリーンで落ち着いた印象を与えますが、ただ落ち着いているだけではないのがカマスの魅力。

このダイアル、光の当たり方により見え方が変わります。

日陰や光の弱い屋内などだと、ぱっと見は黒文字盤・黒ベゼルに見間違えてもおかしくないような、抑えられた濃い緑。
それが、日中の日差しや強い光を浴びた際などは、ベゼルは深みのある緑に、ダイアルはコバルトブルーに輝くのです。

この色彩の変化がたまらなく面白い!
さながら森の木々が光の加減で色を変えていくよう。

ダイアル自体もよく見ると少しざらついたマット仕上げかと思いきや、サンレイ仕上げも施され、光の入り方でキラッと輝きます。
かといって、これ見よがしに主張しすぎることなく、どこか奥ゆかしさのある輝きに感じられます。

ダイアルはザラついたマットな加工。
ですが、角度を変えればすぐに美しいサンレイが。

どこか温かみを感じるインデックス


これだけシャープな針、四角と三角のインデックスと、直線的なデザイン構成にも関わらず、無機質な冷たさを感じないのが、カマスの不思議な魅力の一つかもしれません。

その要因の一つは、インデックスの夜光塗料の色によるものかもしれません。
ともすると真っ白な色は冷たさを感じさせるものですが、カマスの場合、黄味がかったビンテージ感ある乳白色の夜光塗料が針やインデックスに使われているため、ダイアル全体に柔らかさと温かみを与えています。

ちなみに、個人的にはこの乳白色の色味と最もマッチするのはグリーンダイアルかと思っています。その点が私がグリーンを選んだ大きな理由でもあります。

なお、インデックスはアプライドなので立体感も抜群。日付窓にもしっかりと縁取りが施されており、5万円以下の時計とは思えない出来栄えです。

ダイアルデザインの好バランス

ここまで色々書いてきてなんなのですが、細かいことは抜きでいいです。
シンプルにカマスのデザインがかっこいいと思います。

ダイアルのデザインに無駄な余白もなく、かといってごちゃついた感じもない。
バランス良く各パーツが配置されているからこそのデザインの妙だと思います。

ベゼルやダイアルがシンメトリーなデザインなのも、この時計を端正に見せる一因かもしれません。

ゴールドに輝く二体の獅子をモチーフとしたオリエントのロゴもいい塩梅に、ダイアルに色を添え、ワンポイントになっているかと。

AutomaticとWater Resistの、英語の筆記体表記も洒落た雰囲気を醸し出しています。
(Water ResistのRegistは少々英語的に違和感を感じる表現ですが・・・)

筆記体も洒落た感じ

申し分のないスペック

デザインの秀逸さもさることながら、この価格帯とは思えない充実のスペック。
カマスが世界的にも絶大な支持を得る腕時計となったのもうなづけます。

ブレスレット素材はSUS316L


ブレスレットはラグ幅22mm、バックルまでほとんどテーパードもないので、太く無骨なツールウォッチ然とした面持ち。
素材はSUS316L。316なだけでなく、ローカーボンの316Lなのか!?とびっくりしたのを覚えています。

仕上げ、バックルの調整穴

ブレスレットの前面はサテン仕上げ、側面はミラーポリッシュ仕上げと、仕上げも使い分けられています。
バックルの長さ調整の穴も4つ付いており、腕にフィットするよう微調整可能です。

 

風防はサファイアクリスタル

また、風防はサファイアクリスタル
5万円以下の腕時計で、サファイアクリスタルを使用。なんと贅沢な。
形状はフラットです。

「オリエントさん、売価設定は大丈夫ですか?」と思わず聞きたくなってしまいます。

なお、ARコーティングは施されていませんが、視認性はバッチリです。

防水性能は20気圧 日常生活用強化防水


防水性能は20気圧の日常生活用強化防水

ISOに準拠した正式なダイバーズではないものの、オリエントの公式HP上では、この日常生活用強化防水は、空気ボンベを使用しないスキンダイビングまで使用可能とされています。日常生活には必要十分以上の申し分のない防水性能ではないでしょうか。

ちなみに、ベゼルはしっかり120クリック
さりげなく高機能を盛り込んでいるのもGoodです。

ムーブメントも良好

精度はメーカーHPでは日差+25秒〜-15秒とされています。
セイコーであれば6R系ムーブメントの日差と同等ですが、価格は6R系を積んだセイコーの製品の方が基本お高め。

ちなみに、私の個体は運が良かったのか、オリエントが控えめに公表しているのか、±10秒以内に収まっていることが多いです。

時に、クロノメーター取得のオメガより良い精度で動いている日も・・・
それはそれで、オメガユーザーとしては微妙な心境にはなりますが・・笑

基本的には遅れではなく、進む方向にズレるので、日々の調整も楽に済んでいます。

夜光は文句なし


夜光もバッチリ光ります。
オメガ プラネットオーシャンと比較した際も、暗くした直後の発光具合はプラネットオーシャンと遜色ないレベルで光ります。
持続時間はオメガには敵いません(当然ですが・・)が、この発光力は価格を考えたら十分すぎるスペックだと思います。

欲を言わせてもらえば・・

正直、欠点という欠点のない非常にバランスの取れた名機だと思っていますが、今後の購入者の方の判断材料として、ここは改善の余地ありかなと思う点を述べさせていただきます。

実用上は全く問題ない内容であり、あくまで「欲を言わせてもらえば」というレベルです。

重心が若干高い

重さはフルコマで169g、私の調整後の個体で約150gですが、少々重さを感じることがあります

カマスよりはるかに重い200g強のオメガ プラネットオーシャンも愛用していますが、プラネットオーシャンではあまり感じることのない、装着時に遠心力を感じる瞬間があるのも事実です。
(価格の全く異なるオメガと比べるなとは思いますが・・)

おそらく、腕時計の重心が十分に低くは設計されていないことで、少々座りの悪さが出てしまっているかもしれません。
また、裏蓋の腕との接地面が小さい上に、妙にサラサラしているので、余計に腕の上で動きやすく、着用時に遠心力を感じる原因となっているかもしれません。

ブレスレットとケースのバランスもあるかもしれません。現在はブレスレットを社外製品に変えているのですが、純正ブレスレットよりも若干重いので、バランスが良くなったのか少し重みを感じにくくなったような気がします。

オリエント カマス ケースバック
ケース裏蓋が小さめでサラサラしている。2頭のイルカが可愛い。
一説には、このイルカを海外の方がサメと間違え、マオリ語のサメを意味するMAKOとオリエントの時計を呼び始めたそう。
なお、KAMASUの別のペットネームはMAKO 3

ブレスレット周りの質感

ブレスレット自体はSUS316Lを使用されており、無垢素材で適度な重みもある、しっかりとした作りです。
ただ、それと比べると弓カンとバックルの質感はもっと頑張ってほしい点。

弓カンは無垢材ではないので少々シャカシャカ音が気になる瞬間も。
バックルは汎用バックルの使用で、ダブルロック式でしっかりとしていますが、開いた時のテカテカのポリッシュ面が、個人的にはあまり好みではないです。

また、バックルにオリエントのロゴマークが彫られていますが、もう少し深く彫り込んであればなぁと思っています。
傷が付きやすい部分でもあるので、いずれ擦れて見えなくなってしまいそうで・・

ロゴ自体はカッコいいです。
ダイアルとは違って色がないのも渋くていいですね。
どちらかというと、私は色なしの方が好みかもしれません。

ちなみに、ブレスレットのコマが擬似3連で安っぽいというご意見もあるようですが、個人的には気にならないですね。
ダイバーズであれば、コマ間への海水の侵入を防ぎ耐久性を上げるため、あえて擬似3連にするメーカーもあるので、違和感はありません。


メーカー定価3万円台(税抜)の腕時計に注文が多すぎるのはわかっていますが、プラス幾らかの値段が上がっても、質感が向上すればさらにまた別のファン層も獲得できるポテンシャルはあるのではと思います。
それだけ他の部分が良いので、相対的に粗い部分が目立ってしまう気がします。

噂のリューズ操作感について

オリエント カマス リューズ
リューズは少々小さく、リューズガードもあり操作性は良いとは言えないが、目くじら立てるほどでもないです。


他の方のレビューなどを見ていると、リューズの操作性が悪いという意見が多いですね。
確かに、リューズガードがリューズのほぼ全体を覆っているので、回しにくいと言えば回しにくいですが、言うほどでもないかなとは思います。
私が指が細めなので、指が太い方や手が大きい方はリューズがつまみにくいこともあるかもしれません。

個人的には回しにくさよりも気になるのは、噛み合わせ
時刻調整など終わった後に、リューズを押し込んで元に戻す際、時々しっかり噛み合わない時があります。時計内部のリューズのネジ山が潰れたりしないか、少々心配になったりするので、そこは改善の余地ありかもしれません。

まとめ:コスパ最強、KAMASU は買って損なし

カマスはこれだけのハイスペックを持ち、レトロ感を漂わせたデザインもカッコいい。
日常使いの時計としてほとんど非の打ち所がありません。

その使いやすさから、気がつくとカマスばかり使ってしまいそうで、意識して他の腕時計も使おうとしている自分がいます。

しかし、これだけのスペックを持ちながら、メーカー価格は税抜ながら3万円代。
実勢価格は3万円を切る価格。

カマスよりもはるかに高額な腕時計でも、防水性が劣るものもある、サファイヤクリスタルではないものもある、ベゼルのクリック数が60のものもある・・・
同じスペックを持っていたら、とても3万円などでは販売されていない・・

「腕時計の価値ってなんだろう・・?」と思わざるをえない心境になります。

そう思わせてくれるほど、文句なしにオリエントが誇る、
いや、日本が誇る名機であるのは間違いないです。

買って損をするようなことがないかと。
おすすめです!

【スペックまとめ】

  • 駆動方式:機械式
  • キャリバー:F6922
  • 精度:日差+25秒〜-15秒
  • 駆動時間:40時間以上
  • ケース材質:ステンレススチール
  • ガラス素材:サファイアクリスタル
  • ルミナスライト:あり
  • バンド材質:ステンレススチール (SUS316L)
  • バンド幅:22mm
  • 中留:プッシュWロック三つ折り式
  • 重さ:169g(フルコマ)
  • 縦径:46.8mm
  • 横径:41.8mm
  • 厚み:12.8mm
  • 防水:日常生活用強化防水(20気圧)
  • 耐磁:1種

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